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甘くて絶品!三保でトマトを作る[nogi農園]水野夫妻

nogi農園にてトマトの手入れをする水野順也さん

富士山世界文化遺産『三保の松原』がある、美しい景勝地として知られる三保半島。三保半島は、トマトの栽培が盛んな地域であることをご存じだろうか。実は三保半島は温暖で水はけの良い砂地のため、トマトにとって理想的な場所なのだという。その歴史は古く、大正時代から土耕栽培が行われ、施設栽培発祥の地ともされている。


 

今回訪れたのは三保半島のほぼ先端、大きなみかんの木が目をひく[nogi農園]だ。[nogi農園]が作るトマトは、“驚くほど甘い”ととても人気で、イベントに出店した際には1時間で売り切れてしまうこともあるほどだ。

そんな[nogi農園]ではどんな人がトマトを育てているのだろう。農園を訪れて、お話を伺った。


みかんの木がシンボルのnogi農園入り口

|はじまりは米作り


[nogi農園]を経営するのは、水野順也さん・喜代恵さんご夫妻。おふたりは新規就農者としてトマト栽培を始め、今年で10年目を迎える。


夫の順也さんは、広島県出身で大学進学を機に静岡へきた。専攻は農業関連ではなかったものの、大学の研究所が清水の両河内にあり、そこの田んぼで作業をするようになったことがきっかけで、農家の道へと進んだのだという。ご夫婦の出会いもその頃だった。


「はじまりは米作りだったんです。だから穀物を表す「禾(のぎ=nogi)」の名前をつけました。初心を忘れたくなくて」


そう話してくれたのは妻の喜代恵さん。今回は喜代恵さんにじっくりとトマト栽培への道のりを伺った。


nogi小屋入り口の看板

トマト栽培を始めたきっかけは、山で米作りを始めてしばらく経った頃に、山での暮らしが少し窮屈に感じることがあって。もう山を下りようかって、2人で話して下山したんです。私の実家が折戸(三保地区の隣)なので、近くに引っ越しました。といっても、実家は農家ではないので、どうしようか…と。三保といえば『トマトじゃない?』となって。よし、トマトやろう!って。

川村農園さんというところが歴史ある農家さんで、研修に行って学ばせていただきました。トマトを始めたのも川村農園さんの影響は大きかったですね。三保のトマト農家さんは歴史あるところが多いです。」



|周りの協力を得ながらこられた10年



「農家を始めるときに、気持ち的なハードルはなかったんです。これしかない!と思って必死でしたから。でも私たちには土地もないし、イチからのスタートだったので、本当に苦労しました。土地探しや栽培も大変だけど、2人とも農家の暮らしというものがどんな生活なのかがわからなかった。農家という仕事は、生き物が相手ということなんですよね。休日もないし病気になっても世話をしなければいけない。1代目として、そういった基本的なことが染み付くまでが大変だったかなと思います。もし息子が継いでくれたら、この生活を見てきているので、そこは慣れているから大丈夫なのかなぁとか考えたりしますね」


水野さんご夫妻には、中学1年生と小学2年生になるお子さんがいる。

子育てをしながら初めてのトマト作りに勤しむのは、とても苦労したという。


「トマトのことばかりで、子どもたちのことは本当にちゃんとできてないなぁと反省することが多いです。上の子が弟の宿題を見てくれたりして協力してくれてて。両親や学校の先生にも感謝ですよね。ありがたいです。」



nogi農園のトマトハウス
ハウス内には色鮮やかな赤や黄色のトマトたち


|なにをおいてもトマトを


「トマトは水をほとんど必要としないんですよ。いつも水は主人が秒数を数えながら与えてるんです。1日に必要な量は何秒とか。あげすぎると割れてしまう。

だからといってお世話が必要ない訳ではなくて、雨の日はハウスの天窓を下げて、途中で晴れてきたら、蒸気が上がってしまうのですぐに開けなければならない。夕方になって肌寒くなってきたら閉めたり。ずっと気にしていなければいけなくて、すごくシビアです。



nogi農園の園主の水野順也さん
前日に大雨が降ったこの日。「こういう日は実が割れやすいんです」と順也さん


他の農家さんも同じだと思うけど、休みの日も遠出はできないですね。機械でできればいいんだけど、小さな農家なので、そこまではできなくて。トマトはまるで生まれたての赤ちゃん。だから自分たちのことはそっちのけで、なにはともあれおいしいトマトを育てなきゃって感じで必死ですね。」



|大人気!nogi小屋カフェメニュー

[nogi農園]では直売所も兼ねたカフェも営業している。その名も[nogi小屋]。

[nogi農園]で育つトマトやメロン、さつまいも、枝豆、いちじくなど、そのときの旬のメニューを味わうことができるという。


nogi小屋カフェメニュー
書道教室も開いてるという喜代恵さん直筆のメニュー

「カフェは始めて5年くらいかな?トマトが余ってしまって処分してしまうのも嫌だし、自分たちで食べるのにも限界があるので、何かできないかなと。川村農園さんが加工の一例としてカフェもやっていらしたので始めました。

最初はトマトおはぎから始めたんです。元々が米農家だったので、『米×トマト』で考案しました。おはぎの上にトマトをのせて、その上に寒天をのせるんです。でも、お米作りはやめてしまったので、他に何か変わるものはないかなと考えていたら、主人が『ホットサンドはどう?』というので作ってみたら、これがすごくお客様に好評で。60代とか70代の方も買いに来てくれるんですよ。インスタを見て遠方から来てくださる方もいます」


[nogi農園]のインスタグラムは、おいしそうなトマトやカフェメニューの写真が並び、喜代恵さんの温もりある文章が添えられている。そこには感謝の思いがたくさん綴られていて、取材中にも何度もお客様への言葉を語っていた。


nogi小屋で作業をする妻の喜代恵さん
柔らかな木漏れ日が落ちるnogi小屋はお二人の人柄を表すかのよう。

「カフェのメニューは夫婦で決めているんですけど、なんでもありだよねって。とにかくトマトがおいしく食べられるように。ちょっと変わった組み合わせのメニューも時々出したりしてるんですけど『ありだよ!おいしいよ!』と言ってノリよく楽しんでくれるお客様がいるから、ここまでこれていますね。本当にありがたいです」


トマトの栽培がひと段落すると、夏に向けてメロンのハウス栽培が始まるのだという。


「これからの夏の時期に人気なのがメロンパフェです。メロンは若い男性のファンが多いですね。やっぱりカフェメニューとして加工して出すと、お客様の反応が良くて嬉しいです。色々な農家さんがいる中で、自分たちを見つけてもらうために『色』を出さなければいけない。試行錯誤してますけど、その一環としてのカフェでもあるので、これからも色々なメニューを出していけたらいいなと思っています。」



nogi農園のイエローアイコ

|10年を迎えた今、そしてこれから

トマト栽培を始めて迎えた10年目。少しずつ落ち着いてきてますか?と訊ねると「10年経っても変わらないですね。温暖化で気候も毎年違うから、大変なのはずっと」と笑いながら、これからのことをこう話してくれた。


「この仕事は体力勝負。これからは、従業員さんを増やして、頑張りすぎている主人を少し休ませたいなと。自分たちの体力を考えながらバランスよくやりたいです。おいしいトマトをこれからも育てるためにね。そんな風に思ってますね」



nogi農園のトマトはなおとめ



 

nogi農園さんのオススメレシピ


◼︎トマトリゾット(写真1枚目)


寒い時は、残りご飯とトマトとチーズと玉ねぎ塩胡椒のみで作るリゾットがおすすめです。

はじめに、トマトを5個ほど、クタクタになり、水分が出るまで炒めます。そこへ玉ねぎ、ご飯を入れなじませたら、チーズを入れ、出来上がりです。(喜代恵さん)

写真提供:nogi農園



◼︎トマトのブルスケッタ(写真2枚目)


爽やか系でしたら、焼いたバケットにトマトを角切りにしたのをのせて、塩胡椒、オリーブオイルたらりで、ブルスケッタがおすすめです。(喜代恵さん)




◼︎オススメのトマトはレッドオーレ(写真3枚目)


ピンポン玉ほどの大きさのトマトで甘みが強くフルーティー!


 



nogi農園


静岡県静岡市清水区三保3121−7




nogi小屋(直売所・カフェ)

OPEN:木曜13:00-16:00、土曜14:00-17:00

駐車場:直売所の道路挟んで向かいに5台

nogi農園のトマトは直売所、ONLINESHOPのほか一部静鉄ストア店舗でも購入可能です(水野順也さん名義にて販売中)





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